『私の人生を食べる母』を読んだ感想【ネタバレ】逃れられない母親の呪縛

今回ご紹介する『私の人生を食べる母』は、里親家庭での生活、実母との再会、そして施設での生活という複雑な環境を生き抜いた主人公による、実話をもとにしたコミックエッセイです。

「本当のお母さんと暮らせば幸せになれる」。そんな幼い子どもの純粋な願いが、現実の厳しさに直面したとき、果たしてどういった結末を迎えるのでしょうか…。

 

漫画【私の人生を食べる母】について

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作者米田幸代 いよかん
ジャンル女性漫画
出版社KADOKAWA
掲載誌コミックエッセイ

『私の人生を食べる母』は、原案を手掛けた米田幸代先生自身の実体験をもとに描かれたコミックエッセイです。

主人公のサチヨは、生まれてすぐ祖父母ほど年の離れた夫婦に里子として引き取られ、温かく育てられますが、家族の中で自分ひとりだけ苗字が違うことに疎外感を抱えていました…。そんなある日、突然、実の母から“一緒に住まないか”と提案されて…。

本作は、サチヨが理不尽な要求や孤独に直面しながらも、自分の人生と向き合っていく過程をリアルかつ繊細に描いています。

小桃
家族の温かさと孤独、親子の絆の難しさが描かれた、どこか心にじんわりと残る作品です!

 

【あらすじ】「私の人生を食べる母」はどんな物語?

里親家庭での疎外感

サチヨは生まれてすぐ、祖父母ほど年の離れた里親夫婦のもとで育てられます。

夫婦から本当の娘のようにたくさんの愛情を受けてすくすくと成長しますが、サチヨはどこか“疎外感”を感じていました。

普通の家族として生活する中でも、里親夫婦に気を遣う毎日。サチヨは記憶にない“母親”の存在を恋しく感じ始めていました。

やがて、里親夫婦の実の孫たちに対しても苛立ちを覚え、そのモヤモヤを発散することも…。

そんなある日、サチヨの実の母親から「一緒に暮らしたい」と連絡がきたのです。

実母との再会と地獄の始まり…

夢にまで見た実母との新生活が始まりましたが、それは理想とはまるでかけ離れたものでした…。

“お母さんのために”とサチヨなりに頑張ってこなした家事は叱られ、さらに、仕事で家を空けることが多い母親に代わって、家事のすべて任されるようになってしまったのです。

そして、その理不尽な仕打ちは中学生になってからも変わりませんでした。

ある日、学校から帰宅したサチヨは、母親からある頼み事をされます。そのありえない内容に、これまで我慢してきたサチヨも、ついに我慢の限界がきて…!

 

「私の人生を食べる母」を読んだ感想(ネタバレ注意)

サチヨの母親への気持ち

小次郎
やっとの思いで本当の母親との生活を迎えられたのに、あまりにも理不尽な環境に、やるせない気持ちになりました…。

“お母さんの喜ぶ姿を見たいから”と、自ら進んで母親のご機嫌を取ろうとするサチヨの姿を見るのは、とても辛かったです。

そんなことしなくても、本当の親、子どもを愛している親なら、わざわざ取り入る必要なんてないんだよ…と、サチヨに伝えてあげたくなりました。

また、親の“呪縛”がこんなにも根強いものなのか…と、改めて恐ろしく感じました。

サチヨはまだ中学生…。一人で生きていくことも、親を“他人”として割り切ることも、簡単には難しい年齢ですよね。

周りの大人たちの存在

実の母親には恵まれなかったサチヨですが、彼女の周囲には頼れる大人がいて本当に良かったです。

幼い頃に人前で、ましてや自分の親の前で泣けないのって本来あってはならないことだと思います…。

自分の弱さをさらけ出し、それを受け止めてくれる存在がどれほど大切なのかと、強く感じました。

サチヨのことを実の娘のように育ててくれた里親夫婦が、どれほど愛情深く育ててくれていたのか、本作からしっかりと伝わりました!

ただ、やっぱり子どもならではの視点というか、大人には気づけない思いもありますよね…。

サチヨにとって大切だったのは、“本当の母親”との血のつながり。子どもの純粋さに少し驚きつつも、切なさを感じました。

柔らかな絵柄から伝わるリアル!

実話として非常に重たい内容の本作ですが、いよかん先生の可愛らしい絵柄で描かれているところに目を引かれました。

いよかん先生はSNSを中心に育児漫画も手がけており、本作でも幼い子どもの表情や、優しく温かなタッチが絶妙に表現されていますね…!

しかし、その柔らかな絵柄の中でも、次第に表情を失っていくサチヨや、母親の異常性や恐ろしさが生々しく描かれており、そこがとても印象に残るものでした…。

 

「私の人生を食べる母」の見どころを徹底解説!

ここでは、この作品の魅力を3つ厳選してお届けします♪

  • 等身大の主人公の繊細な気持ち
  • “親子”関係の複雑さ
  • サチヨの成長!
小桃
まだ作品を読んでいない方はぜひ参考にしてみてくださいね♪

等身大の主人公の繊細な気持ち

本当の母親を求めるサチヨの葛藤や孤独、時折訪れる小さな幸せなどがとても丁寧に描かれていて、物語に惹きこまれました。

実体験がもとになっているため、辛い部分ももちろんありますが、作者が幼い頃に感じていた等身大の気持ちが伝わってくるところが、本作の大きな魅力のひとつです!

“親子”関係の複雑さ

物語の中でサチヨが母親に期待していたように、「母親だから自分だけを愛してくれる」という考えが本当に正しいのかどうか…。

たとえ血のつながりがなくても、本作の里親のように、本当の愛情を注いでくれる存在はいるのではないでしょうか?

もし自分がサチヨと同じ立場だったら…と、親子関係について改めて考えさせられました。

サチヨの成長!

“母親の笑顔のために”と頑張ってきたサチヨですが、その努力は実らないものだとわかり、ようやく母親から離れることを決意…!

どんなに辛いことがあっても、少しずつ、ゆっくりと自分の人生を進もうとするサチヨの姿がとても印象的でした。

まだ母親の“呪縛”からは逃れられず、多くの困難が立ちはだかりそうですが…。これからどんな結末を迎えるのか、目が離せませんね!

 

まとめ

今回は、衝撃的なコミックエッセイ『私の人生を食べる母』をご紹介しました。

幼いサチヨの無邪気な願いは、夢にまで見ていた母親の手によって裏切られてしまいます…。

果たして、サチヨと母親の関係はどうなっていくのでしょうか?