ご紹介するのは『自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか?』です。
日常で起こりそうなのに、なかなか口に出せない“モヤモヤ”を描いたストーリー。身近な題材だからこそリアルで、読み進めるうちに「いるいる、こういう人!」と共感できる場面が詰まっています♪
漫画【自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか?】どんな作品?
作者 | 河東ますみ |
ジャンル | 女性漫画 |
出版社 | 大洋図書 |
レーベル | 女たちのリアル |
『自分勝手な女たち』シリーズは、河東ますみ先生の人気作で、社会の中で目にする“困った人たち”の行動をテーマにしています。
一見ただの日常のワンシーンなのに、「こういう人、いるいる…!」と思わず共感してしまう不快感を、鋭く描き出すのが河東先生ならではの魅力ですね!
電車やスーパーなど、ちょっとした公共の場で繰り広げられる人間模様に、「自分ならどうするだろう?」と考えさせられます。
ドロドロした愛憎劇ではなく、現代社会の縮図を切り取ったようなリアルさが際立つ一作です!
【自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか?】あらすじと登場人物
ここでは、物語のあらすじをご紹介します。まずは、登場人物を簡単にまとめていきます♪
登場人物
希美 | 本作の主人公。ベビーカーを押して過ごす日常の中で、周囲の視線や対応に不満を募らせている。 ママ友と連れ立って出かけることが多く、家事や育児にはあまり熱心ではないため、夫との関係もぎくしゃくしがち。 ベビーカーを“言い訳”のように使いながら、周囲に強気な態度を取ることが多い。 |
翔太 | 希美の息子。赤ちゃんの頃から希美に強制されるようにベビーカーに乗せられてきた。 成長してからも、彼女の自己中心的な性格に振り回され続け、その影響を強く受けながら育っていき…。 |
純 | 希美の夫。子育てを言い訳に家事や育児を放棄する希美に呆れつつも、家庭を維持しようと努力してきた。 しかし次第に不満が積もり、ついには我慢の限界に達してしまい…! |
ベビーカーを巡るトラブル!
専業主婦の希美は、赤ちゃんの息子・翔太をベビーカーに乗せ、ママ友たちと出かけることが多くありました。
しかし、彼女たちは「ベビーカーは優先されるもの」という考えを持っており、他人の足を踏んでも、電車内で騒いでも、それを悪いことだとはまったく思っていなかったのです。
そんな生活を続けるうちに数年が経ち…。翔太はもうすぐ5歳になるというのに、いまだにベビーカーに乗せられていました。そしてついには、ベビーカーが彼の体重に耐え切れず、壊れてしまい…。
止まらない希美の暴走
ベビーカーが壊れてしまった希美は、二人目の子どもを望み、夫の純にすり寄ります。しかし、これまで家事をほとんどしてこなかった希美は、彼に見限られてしまうのです…。
そこで彼女が思いついた作戦は、以前電車で目にした「車椅子」を使った移動でした。希美は早速車椅子を購入し、翔太に押させることに。
ベビーカーよりも優先される状況に味を占めた希美は、ある日、翔太に押してもらいながら大好きなテーマパークを楽しみますが…!?
【自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか?】見どころをご紹介
それぞれの人物のリアルな描写
現実にもいそうな希美というキャラクターだけでなく、周囲の通行人や関係者までリアルに描かれている点も、思わず見入ってしまうポイントだと思います!
特に希美の友人たちは物語の前面に大きく出てくるわけではありませんが、希美と一緒になってベビーカーではしゃぎ、周囲に迷惑をかける姿が印象的でした。
まるで「集団で行動すれば怖いものなし!」といった雰囲気が漂い、そのいや~な感じが強く伝わってきましたね。
身近なテーマを鋭く切り取る!
この作品の大きな見どころは、誰もが一度は目や耳にしたことのある“ベビーカー問題”をテーマにしている点です。SNSやニュースでも取り上げられることがありますよね。
本作では希美が周囲に迷惑をかける存在として描かれていますが、母親の立場からすれば、公共の場でのベビーカー利用は切実な悩みともいえます。とはいえ、周囲の人から見れば「少し邪魔に感じる」という気持ちもあるはず…。
だからこそ、この作品は単なるフィクションではなく、読む人に考えさせられるエピソードに仕上がっているのだと思います。
【自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか?】結末まで読んだ感想
希美たちの自分勝手さにイライラ
希美を始め、彼女の友人たちの身勝手さには、イライラとモヤモヤが止まりませんでした…!
自分たちが迷惑をかけているにもかかわらず、あたかも自分たちの意見が正しいかのように“正当化”し、周囲の声をまったく無視する姿は、ある意味すごい図太さですよね…。
正直、3人の思考は理解不能で、共感できる部分が一切ありませんでした。むしろ、一人くらいまともな友人がいて、彼女たちの行動を止めてほしかったです…。
ベビーカーに乗る翔太たちはまだ赤ちゃんなので、母親たちの行動はわからないでしょうね。それだけにちょっとかわいそうに感じちゃいました。
崩壊する家族関係…
自分本位な希美に振り回されて、一番の被害者はやっぱり息子の翔太ですよね。
まだ幼いから、彼女に意見することもできませんし、ましてや希美自身の“楽をするための道具”のように扱われているなんて…胸が痛くなりました。
そして、希美の夫・純も、これまでよく我慢できたなと思います。
最初は「家事をあまり手伝わない旦那なのかな?」と思ったのですが、実際には希美の方があまりにもひどくて…。これなら家を出たくなる気持ちも納得です!
【自分勝手な女たち】その他のエピソードの見どころ
本作には、今回ご紹介した『自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか?』の他にも、
- 暴走自転車~歩道を走る凶器~
- 私の人生保証して?
- 泣いて奪っちゃいけないの?
- 金持ち不幸
- ラプンツェル~髪の毛をつたって来る者は天使か悪魔か玉の輿か~
といったエピソードが収録されています。その中から、「私の人生保証して?」と「ラプンツェル~髪の毛をつたって来る者は天使か悪魔か玉の輿か~」の見どころをご紹介します。
「私の人生保証して?」の見どころ
自由奔放な友人に、大人になっても振り回されるという、ちょっぴりイヤな人間関係を描いたエピソード!
人の“優しさ”や“真面目さ”につけ込むという身勝手さには呆れますが、そのリアルな描写にはゾクッとさせられました…。短編ながら心に刺さる作品になっています。
『私の人生保障して?』というタイトルも秀逸ですね…!
「ラプンツェル~髪の毛をつたって来る者は天使か悪魔か玉の輿か~」の見どころ
ラプンツェルの童話をモチーフに、人間の欲深さを描いた一作ですが…これが想像以上の面白さ!
どこか現代的な主人公と、魔女や王子との掛け合いに思わずクスッとしながらも、最後まで目が離せませんでした。
幻想的な雰囲気の中に、ドロドロとした展開が絡み合うギャップがクセになります。
シリーズの中でもひときわ印象に残る、ちょっと異色のエピソードですね(笑)
まとめ
身近なテーマを鋭く描き、読む人の心に強烈な印象を残す『自分勝手な女たち』をご紹介しました!
現実を切り取ったようなリアルさと共感性が魅力で、一度読んだら忘れられない作品です。短編集なので気軽に読めるのも嬉しいポイントですね♪