今回ご紹介するのは、親切心から手を差し伸べたことがきっかけで、思いもよらないトラブルに巻き込まれてしまう主婦・しずかの奮闘を描いた『放置子の面倒を見るのは誰ですか?』です!
「困っている子どもを見かけたら、どうする?」
そんな問いかけを切実に描いた本作は、子育て中の方はもちろん、誰もが他人事ではいられないリアルな物語となっています。
漫画【放置子の面倒を見るのは誰ですか?】について
作者 | 白目みさえ 今西洋介(ふらいと先生) |
ジャンル | 女性漫画 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | LScomic |
『放置子の面倒を見るのは誰ですか?』は、日常のすぐそばにある「放置子」問題をテーマにした作品です。
物語は、新小学一年生の娘を持つ主婦・しずかが、保護者のいない女の子・りつに親切心から手を差し伸べたことから始まります。しかし、その善意が思いもよらぬ形で家族や自分自身を追い詰めていくことに…。
本作は臨床心理士の白目みさえ先生が手がけており、監修にはドラマ「コウノドリ」で登場人物のモデルとなった小児科医・今西洋介先生が参加しています。
【あらすじ】「放置子の面倒を見るのは誰ですか?」はどんな物語?
しずかとりつ、運命の出会い
新一年生の娘・莉華と入学説明会に参加したしずかは、ひとりぼっちの女の子・りつと出会います。両親が来ていない彼女を心配したしずかは、りつが莉華と同じクラスで、しかも朝の登校班も一緒だと知り、親切心からりつの世話をあれこれ焼くようになりました。そんなある日、1人で登校していたりつのことが気になり、しずかは彼女を車で送ることに。しかし、これがきっかけで、りつはしずかにどんどん依存し始めて…!
“善意”が生む葛藤
最初は「困っているりつを助けたい」という純粋な思いで行動していたしずかですが、やがてりつの“お願い”が増え、さらに莉華へのちょっかいも出始めたことで、しずかは戸惑いを感じるように…。そんな中、りつの家庭環境が見えてくるにつれ、彼女が“放置子”かもしれないことを知ったしずか。「りつを助けたい」という気持ちがある一方で、莉華が彼女を嫌がっている姿を目の当たりにして、「自分の家族を守りたい」という思いとの間で揺れ動きます。
「放置子の面倒を見るのは誰ですか?」を読んだ感想
しずかの揺れる心に共感!
しずかの「困っている子を放っておけない」という気持ち、すごくわかります。でも、りつとの関わりが深まるにつれて、彼女の心がどんどん追い詰められていく様子は、読んでいてめちゃくちゃ苦しくなりました。
しずかの立場としては、りつにどこまで関わるべきか本当に難しく、悩んでしまいますよね…。娘と同じ年の子どもがひとりぼっちでいる姿を見てしまうと、どうしても放っておくことはできないと思います。
“放置”されているりつの姿を見るのは切ないけれど、やっぱりまずは自分の子どもの気持ちを優先することが大切なのではないでしょうか。ただその気持ちの線引きをするのがもどかしくて、苦しくなりました…。
莉華とりつ、お互いの存在
何も知らない人からすると、りつは単なる「迷惑な子ども」に見えるかもしれません。しかし、彼女は家庭環境に問題を抱えた“放置子”…。
彼女の純粋な寂しさや不安がマイナスな方向に働いてしまうのが、なんともやり切れない気持ちになりました。
また、しずかに対して表情をほとんど見せず、淡々と話すりつの姿は、とても小学1年生の女の子には見えず、少しゾッとましたね…。
一方で、莉華は本当にしっかり者だと思いました。強くて優しい子なので、両親や祖父母からたっぷり愛情を受けて育ったのだと感じます。
家庭環境が子どもに与える影響が大きさを、改めて感じさせられました。
善意と現実のギャップ
しずかにとってりつは、娘と同じクラスの“他人の子ども”です。そんなしずかの立場からすると、一体どこまで関わって良いのか?非常にモヤモヤしてしまいますよね…。
特に、りつに気を遣うことで莉華たち家族に悪影響を及ぼしてしまうのであれば、「何が正解なのか?」がさらにわからなってしまう思います。
困っている子に手を差し伸べることと、自分の子どもを守ること。“善意”と“現実”のバランスが難しいなと感じました。
「放置子の面倒を見るのは誰ですか?」の見どころを徹底解説!
ここでは、本作を読んで特に印象的だった部分や読むべきポイントを3つ厳選してご紹介します。
- 親切心の行き先とは?
- 放置子問題のリアルさ
- 親としての葛藤と決断…!
親切心の行き先とは?
しずかの「あの子を助けたい」という気持ちが、思いもよらぬトラブルを招く展開は、深く考えさせられるものがありました。
困っている人に手を差し伸べる優しさは大切ですが、その裏には危険性も潜んでいて…。どちらもリアルに描かれているのが、本作の見どころの一つですね。
その子に何かできるのか?でも本当にそれをしなくてはいけないのか…。考えさせられる作品でした。
放置子問題のリアルさ
りつの異常ともとれる行動は、家庭環境によるものとして描かれています。本作は“放置子”の問題を浮き彫りにし、私たちの身近でも起こりうる、他人事では済ませられないリアルさを感じました…。
助けたい気持ちがある一方で、自分の家庭への影響もあり…、いろいろと悩んでしまいますよね。放置子問題の難しさが痛感できるストーリーでした。
親としての葛藤と決断…!
しずかがりつとの接し方に悩み、葛藤しながらも莉華の母親として成長していく姿も見どころとなっています!
娘と同じ年の女の子をどうしても放っておけず、優しく接するしずかですが、やはり自分の娘が危ない目に遭ってしまうと気持ちが変わってきますよね…。
自分や家族を守るためにある決断を下したしずかですが、今後どう物語が展開していくのかが気になります!
まとめ
善意で始まったはずの関係が、いつしか恐怖や不安に変わっていく―。そんな本作をご紹介しました。
親として、どこまで他人の子どもに関わるべきなのか、しずかの葛藤が胸にくるものがありますね…。
ぜひ、多くの人に手に取ってほしい作品です。