【あの娘の名前は】ネタバレありの感想!存在価値を探す名もなき娘たち

あの娘の名前は~彼女たちはなぜ躓いたのか~』は、現代の日本社会で苦境に立たされた女性たちの生き様と葛藤を描いた、ノンフィクション作品です。

コロナ禍で仕事と自分の価値をも失ってしまったAV女優を始め、“社会的に名前のない”さまざまな女性たちが登場します。

それぞれ異なる背景を持ちながら、社会に揉まれて必死に生きる彼女たちの行く末は…?

 

漫画【あの娘の名前は~彼女たちはなぜ躓いたのか~】について

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作品情報

本作は原作をノンフィクション作家の中村淳彦先生、作画をさかもと麻乃先生が担当されています。

中村先生といえば、近年ドラマ化した「東京貧困女子」も有名な作品ですね。ほかにも多く執筆されていますが、“女性の貧困”に焦点を当てた作品が多いです。

『あの娘の名前は』も、社会の片隅で奮闘する女性たちの姿を通じて、直面する社会の厳しさや偏見など、現実問題がリアルに描かれています。

まだあどけない主人公の表情や、コマ割りでの見せ方などが、より人物たちの辛い心情や、社会の闇を色濃く感じさせられました。

あらすじ

綾香は、離婚をきっかけに“毒親”になってしまった母親の影響で、楽しみにしていた高校生活を断念…。その後実家から逃げるようにAV業界に入りました。

アルバイトもしながら生活をする中で新たな友人もでき、決して楽ではないが穏やかに過ごす日々。

しかし、世界中に影響をもたらしたコロナ禍が日本にも訪れ、段々と仕事を失ってしまいます。

ようやく自分の価値を見出していた綾香は、“存在価値”の喪失に直面したのです…。

そんな時、離婚して父親に引き取られていた弟と、突然一緒に暮らすことになりますが、それが新たな苦難の始まりでした。

登場人物

  • 金森 綾香

母親の影響で中学時代から行動を制限されていた。

高校に進学できないことや、ある出来事を機に、1人で生きていくことを決意。

AVやアルバイトで生計を立てながら、自分の存在価値を探している。

  • 綾香の母親

離婚をきっかけに綾香を束縛するようになった“毒親”的存在。

綾香を自分の理想の女性に育てようとしている。

夫や実の息子も見下すような発言がある一方で、さまざまな男性と関係を持つ。

  • 村尾 環

綾香の実の弟。両親の離婚の際に、父親に引き取られていた。

これまでは離れて暮らしていたが、あるきっかけで綾香たちと暮らすことになり…?

 

【あの娘の名前は~彼女たちはなぜ躓いたのか~】を読んだ感想(ネタバレ注意)

毒親との関係性

綾香にとって母親の存在が悪影響になり、人生を諦めざるを得なくなる状況に胸が締め付けられました。

まだ14才という幼い少女には、たったひとりの母親と離れるのは酷なことですよね…。幼いうちに、母親の幸せのためだけに動く姿は辛かったです。

ただ思ったのは、必ずしも母親だけが“悪”ではないということです。

風俗やパパ活といった女性ならではの問題もありますが、“シングルマザー”という存在についても、現実的にしっかりと向き合う必要があると感じました。

ごく普通の少女の運命

まだ純真さが残っている、普通の少女の生活にしては、あまりにも辛すぎる…。

ただ周りのクラスメイトとの仲は良好そうで、ますますこんな良い子に今後の待ち受けている展開が信じられませんでした…。

中学生時代から、もがきながらも変わろうと頑張っている姿はじーんときて、考えさせられることがありました。

また、綾香が高校に行けなくなったとき、周りは誰も気にかけてくれなかったのでしょうか。そこには非常にモヤモヤさせられました…!

コロナ禍の影響…

ここでのコロナに与えられた影響は凄まじいものですね…。現実でも問題となり、読者の人たちもその実感が少なからずあると思います。

特に風俗や接客業など、人と接する仕事はコロナ禍の影響を大きく受けるでしょう。

そしてだんだんと仕事が減り、収入にも影響が出ますが、綾香の場合はそれだけではないように感じました…。

綾香の“存在価値”が仕事と共に消えていくように見え、単なる収入の喪失以上の意味を持つことが、痛いほど伝わってきました。

【あの娘の名前は~彼女たちはなぜ躓いたのか~】見どころをご紹介!

社会の影に隠された現実

本作は、現代の日本社会で見過ごされがちな、女性たちの苦悩が赤裸々に描かれています。

一見華やかに見える世界の裏側には、厳しい現実が待っているのだと感じました…。

またフィクションではなく、紛れもない現実を基にした物語には、読んだ人たちにかなりの衝撃を与えるのではないでしょうか。

毒親がもたらす苦悩…

もう1つの見どころであり、この作品の重要なテーマとも考えられるのは、綾香の背景にある毒親の存在です。

せっかく仲良くなった友人たちと同じ高校にも行けず、言わば人生の選択肢を奪われた綾香の姿は、非常に辛かったです。

ただ、毒親であった母親もまた“毒親”に育てられた可能性もあるかもしれませんね…。そこから生まれる「負の連鎖」のようなものを、考えさせられる作品でした。

 

まとめ

自らの生まれや環境が原因で、女性たちが社会の闇にのみ込まれてしまう物語。皆さんはどう感じるでしょうか?

社会的な問題になっており、非常に重たい内容ですが…。綾香の幸せを願わずにはいられませんでした。

また“名もなき女性たちの声”に、周りの人たちは何ができるのかを考えさせられましたね。

衝撃のノンフィクションである本作が気になる方は、ぜひ1度読んでみてください。