今回紹介する『わたしの親が老害なんて』は、定年間近の夫と二人暮らしをしている栄子が、老害になりゆく両親との関係に悩み葛藤していく物語です。
栄子の両親は自分が正しいと思い込み、価値観を押し付けてくる厄介な老人。果たして栄子は、他人に迷惑ばかりかける両親と程よく付き合う事ができるのでしょうか。
漫画【わたしの親が老害なんて】について
作者 | 西野みや子 |
ジャンル | 女性漫画 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | コミックエッセイ |
漫画『わたしの親が老害なんて』は、西野みや子先生が“割り切れない人生の葛藤”を描いたセミフィクション作品です。誰にでも起こりうる“老害”をテーマに分かりやすく描かれており、特に両親との関係に悩む方には共感できる内容となっています。
独自の価値観を持ち他人に迷惑をかけ続ける両親との関係に悩んだ主人公が、葛藤の末に結論を出すまでを描いた物語。
若い頃には理性が働いていたものの、老化と共に抑えられなくなるのは脳の衰えが関係しているのでしょうか。老害にならないためにはどうしたらいいのか、そして主人公が出した答えにも注目していただきたいです!
【わたしの親が老害なんて】はどんな物語?
頼れる人から煩わしい人へ
このお話の主人公は一人娘が巣立ち、夫と二人暮らしを楽しむ主婦・栄子。パートをする傍ら、栄子は週に二度近所に住む両親の元へ夕食を作りに行っていました。
しかし両親は感謝するどころかこだわりばかりを押し付け、振り回された英子は疲弊していきます。娘が幼い頃には助けてもらった事も多かったものの、独自の考えを持つ両親との付き合いに煩わしさを感じ始めていました。
過去のトラウマ
それでも遠方に住む弟に両親の世話を任せるわけにもいかず、長女である自分が何とかしなければと考えていた栄子。ある日、栄子が実家を訪れると両親の姿はなく、数年前の嫌な記憶が蘇ります。
今から数年前、外出後に食事をしようと考えた栄子たち。しかし休日で店は混雑しており、耐えかねた父は店員に暴言を吐き警備員がやって来る騒ぎとなります。
父を落ち着かせた栄子は警備員に謝りますが、嫌味を言われてしまう羽目に。反省の色もない両親との外出がトラウマになった栄子は、二人が勝手な行動をしないよう見張るようになりました。
夫の提案
それからしばらくして、里帰り出産を控えた一人娘の美咲が帰郷。髪を明るく染めた美咲の姿を見た栄子は両親が良く思わないと咎めますが、娘は胎児に影響はないと言います。
しかし実家を訪れると、案の定両親は美咲の髪色や仕事復帰について批判。さらにはつわりに苦しむ美咲に無理矢理食事をさせようとした事で、温厚な栄子も耐えかねていました。
そんなある日、教員だった父の元に教え子が訪ねてきた事でまたも事件が起こります。両親との関係に悩む栄子を見かねた夫は、引っ越しをして距離を置く事を提案して…。
『わたしの親が老害なんて』を読んだ感想(ネタバレ注意)
両親への不満
年を取る毎に頑固になっていく両親との関係に悩む主人公に共感させられました!
主人公の栄子は子育てを終え自分の時間が持てるようになった主婦ですが、週に二回も両親のお世話をする生活が続いているなんて気の毒過ぎます。栄子が長女で弟が遠方に住んでいるとはいえ、あまりにも不公平だと感じました。
さらに両親が少しでも感謝の気持ちを持ってくれるならともかく、こだわりを押し付けるばかりで“ありがとう”の言葉すらないですし、もうやっていられませんね。栄子が両親との関りを煩わしいと感じるのももっともで、距離を置かなければ心を病んでしまうのではと心配になりました。
身勝手な考え
さらには数年前、混雑している寿司屋で怒鳴り散らし警備員を呼ばれる騒動を起こした父。若者でもクレーマーはいると思いますが、老人は特に人の話を聞かない人が多く、質が悪いと感じます。
全ては老化と共に脳が委縮し理性が働かなくなるためだと言われているものの、結局はその人が生きてきた環境が大きいのでは…。
“老害”と呼ばれる人の多くは子育ても終わり守るものがなくなった人ばかりですし、何のしがらみもなくなったからこそ暴走してしまうのでしょうか。
娘が幼い頃には頼りになると思えていた両親も、今では自分の意見を押し付ける迷惑な人間でしかありません。
古い風習を信じ、つわりに苦しむ美咲に無理矢理食事をさせようとする母親の姿に唖然…。娘を傷つけられた栄子も引いていますし、こうやって心が離れていくのでしょうね。
両親への罪悪感
美咲とのエピソードにもドン引きしましたが、訪ねてきた教え子への対応も酷すぎます。
栄子の父親は元教師で教え子にも慕われていたようですが、転職を考える彼に古い考えを押し付け“打たれ弱い”と言い放つ姿に怒りを覚えました…。
教え子とはいえ言っていい事と悪い事がありますし、もう二度と来ないでしょうね。
暴走を続ける両親に思い悩む栄子にとって、味方となってくれる夫の存在はとても心強いと感じます。
見かねた夫が引っ越しをして両親と距離を置く事を勧めてくれましたし、栄子には罪悪感を抱かず自分の人生を謳歌して欲しいです!
これまでのストーリーから最終回・結末を考察!
最終的に、栄子は夫の提案を受け入れ引っ越しをすると思います。
今は栄子に頼りっぱなしで、娘になら何をしてもいいと考えている両親。非常識な両親の対応に栄子は心を病み始めていますし、ここで離れなければ壊れてしまうと感じます。
さらに今後は両親が事故を起こす事も示唆されており、対応次第ではさらに栄子の心が離れてしまう可能性も。
年老いた頑固な両親が自分の過ちを認める事はないでしょうし、栄子は両親と距離を置き別々の道を歩むと予想しています!
最後に【わたしの親が老害なんて】の見どころ3選!
最後に、この作品を読んで印象的だった部分や注目してほしい部分を3つご紹介します。
- 両親への悩み
- 自分が一番正しいという思い込み
- 栄子の決断
まだ作品を読まれていない方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
両親への悩み
頼れる存在だった両親が、年々煩わしい存在になっていく。
幼い頃は両親の発言は絶対でしたが、子供は別人格で親の所有物ではありません。
成人し家庭を持っているのに、いつまでも両親の尻拭いをするのはおかしいと感じます。
これ以上拗れないためにも両親と距離を置く事は大切な事だと感じますが、親を見捨てるような罪悪感を抱いてしまう栄子にも共感させられました!
自分が一番正しいという思い込み
年齢を増すごとに頑固になり、自分が一番正しいと思いがち。
栄子の両親も例外ではなく、店員を怒鳴りつける姿は老害そのものです。
まるで自分の親を見ているようで、心が痛む方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
将来こんな老人にならないように気を付けようと、反面教師となってくれる作品です!
栄子の決断
両親との関係に悩みながらも、見捨てられずにいる栄子。
夫が背中を押してくれる事は心強いですが、決断できない気持ちも分かります。
そんな栄子にとって両親が起こした交通事故がキーポイントとなっており、最終的にどんな決断を下すのか見届けていただきたいです!