今回紹介する『障がい者専門風俗嬢のわたし』は、デリヘルで学費を稼ぎ看護師になったつくしが、動画配信で知った“障がい者専門風俗店”の存在を知り、未知の世界へ飛び込んでいくお話です。
一般男性相手でも大変な仕事なのに、障がい者にサービスをするとなるとさらに大変。「障がい者の性」について学びながら成長していく姿を応援したくなります!
漫画『障がい者専門風俗嬢のわたし』基本情報
作者 | あらいぴろよ 小西理恵 |
ジャンル | 女性漫画 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | コミックエッセイ |
漫画『障がい者専門風俗嬢のわたし』は、某テレビ番組に出演し800万回再生を記録した一般社団法人「輝き製作所」の代表者で風俗嬢としても働く小西理恵先生と、様々な家族の形を描き続けているあらいぴろよ先生がタックを組んだセミフィクション作品です。
看護師として働きながら「障がい者の性」について興味を持った主人公が、障がい者専門の風俗嬢となり成長を遂げていく物語。
障がい者ならではの悩みに向き合いながら、「性」について幅広く学べる素敵な作品です!
『障がい者専門風俗嬢のわたし』はどんな物語?
ここでは、本作の”あらすじ”を簡単にご紹介します。
障がい者の性
デリヘルで学費を稼ぎ看護師となったつくしは、障がい者専門風俗店のインタビュー動画を見つけます。
性欲がありながらも上手く発散できない不自由に共感を抱いたつくしは退職すると、新しい世界へ足を踏み入れる事に。
運良く動画配信されていた風俗店でキャスト募集をかけていた事から、つくしは面接へと向かいました。
障がい者専門風俗嬢へ
ごく普通のマンションの扉を開けると、出迎えてくれたのは障がい者専門風俗店「またたき」の代表者・しずく。
一般的な風俗店とは違い利用者が少ないため、あまり稼げないと知ったつくしは驚きます。
それでも利用者が大切なお金を使ってまで来店してくれる事を知り、絶対に後悔させない時間にすると約束。
店では個人の障がいについて確認するため、事前カウンセリングを用い要望を聞き入れていました。
早速採用が決まったつくしは、交通事故で下半身麻痺となった男性を担当する事になり…。
『障がい者専門風俗嬢のわたし』を読んだ感想【ネタバレ注意】
ここからは、作品を読んで個人的に感じたことをご紹介します。
ネタバレ感想①:未知の世界
看護師でありながらデリヘル勤務経験を持つつくしが、障がい者専門風俗嬢となり様々な経験をしていく展開に引き込まれました!
看護師という職業柄、男性の「性」を目の当たりにしてきた事もあり、つくしは需要があるのに提供の場が乏しい障がい者への性的サービスについて興味を持ち始めます。
障がい者には性欲がないと思ってしまいがちですが、障がい者も性欲は変わらないという事実に驚愕!
この時点で自分が偏見を持っていた事に驚いてしまいましたが、決して軽蔑する事もなく利用者の世界を広げる手伝いをしようと考える代表者のしずくと、その意見に共感するつくしを応援したくなりました!
未知の世界に飛び出すのは大変な事だと思いますが、この二人ならきっと満足のいくサービスを提供できると感じます。
ネタバレ感想②:初めてのお客さん
つくしが最初に担当したのは、交通事故で下半身麻痺になってしまった筒井。
下半身の自由が利かないせいで射精ができない体になってしまった筒井をけなす事なく、射精できなくても気持ちいい場所を見つけようと頑張るつくしは素敵ですね!
つくしの心のこもったサービスのおかげで、自分らしさを取り戻した筒井が涙する展開に感動。
下半身麻痺になった事で男性としての自信を失っていた筒井が発した「俺は俺のままだった」という言葉が印象的でした!
筒井の場合は特に困難もなく意思疎通を行う事ができましたが、本人との意思疎通が困難な場合にはどうなってしまうのかと興味を惹かれました。
ネタバレ感想③:家族の葛藤
次に「またたき」を訪れたのは、重い知的障がいを持つななとの姉・むつみ。
ななとは成人していますが知能は2~3歳児程度という事で、性に対する興味はあるのに発散の仕方が分からないという非常に厳しい状況。
家の中で自嘲するのならともかく、公共の場でも性器を触ってしまうなど、説明しても分かってもらえない家族の苦悩にいたたまれなくなりました。
このような場合には家族が性欲発散の手伝いをする場合もあるようですが“ななとのお姉ちゃんでいたい”と泣くむつみの姿に涙…。
むつみの気持ちを受け入れ、ななとにも分かるように絵カードを用いルール説明を行いながら、彼に合ったサービスを提供していくしずくに感心させられました!
勇気を出して「またたき」を訪れてくれたから、むつみとななとが分かり合えたのかと思うと感慨深いです!
『障がい者専門風俗嬢のわたし』の見どころ3選!
『障がい者専門風俗嬢のわたし』の見どころを3つ厳選してご紹介します。
- 障がい者の性についての理解が深まる
- 様々な利用者たち
- 小西理恵先生の実体験を元にしたストーリー
それぞれ詳しく解説していきますね!
障がい者の性についての理解が深まる
一般的に「性」に関する話はタブーにされがちですが、障がい者にも当たり前に性欲はあり、うまく発散できず困っている事が分かり驚かされました。
何かしてあげたいと頭では思いながらも、つくしのように風俗嬢として現場で働く事は難しいですし、漫画を通して性の知識を深める事ができるのは本当に有難いです。
障がい者の方々がどれほど性に対して辛い思いをしているのかも分かり、読みながら胸が詰まる展開となっています。
様々な利用者たち
「またたき」を訪れるのは、利用者本人だけではありません。
筒井のように意思疎通ができる本人が訪れる場合もありますが、むつみとななとのように家族が門を叩く場合や、見かねたヘルパーさんが訪れる場合も。
どのパターンでも悩み抜いた末に「またたき」に辿り着いたのかと思うと、色々と考えさせられました。
誰もが心に傷を負っており、中には一般的な風俗店で酷い言葉をぶつけられたケースも。
そんな彼らを丸ごと受け入れ、個人に合ったサービスを提供するしずくとつくしに感心させられます!
小西理恵先生の実体験を元にしたストーリー
小西理恵先生=しずくだと感じますが、障がい者の性についてここまで普及させた小西理恵先生の功績は大きいと思います。
つくしが「またたき」を知ったのも彼女が行った動画配信サービスがきっかけですし、少しでも障がい者の力になりたいと考える小西理恵先生の気持ちが伝わりますね。
この作品を読んで一番印象に残ったところ
この作品を読んで最も印象に残ったのは…
大矢は一般的な風俗店で心無い言葉をぶつけられ、心に深い傷を負っています。
そんな大矢がつくしの心のこもったサービスを受け「普通に接してくれてありがとう」と涙を流すシーンに考えされました…。
障がいがあると事前に伝えていても、はやり一般的な風俗店ではサービスの提供が難しいと感じます。
今はまだ需要と供給が見合っていないものの、もっと「またたき」のような店が増えて欲しいと思わずにはいられませんでした!
まとめ
『障がい者専門風俗嬢のわたし』について紹介しました。
デリヘルで稼いだ資金を元に、念願の看護師となったつくし。
動画配信サービスがきっかけで障がい者専門風俗嬢の存在を知ったつくしは、看護師を辞め障がい者専門の風俗嬢として働き始めます。