『芳町花かげ地獄』を読んだ感想【ネタバレ】江戸の影に咲いた禁断の想い

時は江戸時代…。芳町には「男が春を売る」陰間茶屋・紫扇楼がありました。

『芳町花かげ地獄』は、その茶屋の跡取り娘と、そこで生きる美少年の切ない運命を描いた物語です。

今回は、繊細な心理描写と時代背景が絶妙に絡み合う本作の感想と見どころをご紹介します。

果たして、2人の禁断の恋の行方はどうなるのでしょうか――?

 

漫画【芳町花かげ地獄】の作品情報

国内最大級の漫画・電子書籍ストア【コミックシーモア】※商品リンク有り※許可が下りていないメディアでの掲載は厳禁※

作者並木クロエ
ジャンル女性漫画
出版社講談社
掲載誌Kiss

『芳町花かげ地獄』は、並木クロエ先生による、江戸時代の芳町を舞台に繰り広げられる人間模様をテーマにした作品です。

「男が春を売る」陰間茶屋を舞台に、跡取り娘・一花と、陰間として売られてきた少年・のあの出会いから始まる、儚くも美しい物語…。

華やかで美しい世界の“光と影”の中にひっそりと咲いた、切ない想いに心を惹かれました。

その時代の背景や、そこで生きる人たちの葛藤や心情が丁寧に描かれており、歴史ものが好きな人にもおすすめの作品です!

 

「芳町花かげ地獄」のあらすじを簡単解説!

運命の出会いがもたらす波紋…

江戸時代、日本橋の芳町にあった陰間茶屋「紫扇楼」。その跡取り娘・一花は、二代目楼主として紫扇楼で働く“陰間”たちを取り仕切っていました。

時はさかのぼり、一花が6歳の頃…。学校の帰り道、一花は川で溺れていた美少年・のあを助けます。

その場では父親に連れられていったのあですが、後に何と2人は紫扇楼で再会!

その後、一花の父親の計らいで、のあは一花と同じ学校に通うことに。一花とは兄妹同然に育てられたのあですが、彼には逃れられない運命が待っていたのです…。

紫扇楼の闇にある真実

時が経ち、徐々に大人の男女へと成長していく一花とのあ。これまで兄妹同然に育ってきた2人の間にも、次第に距離が生まれていきました。

そんなある日、一花は「子どもは立ち入り禁止」とされていた紫扇楼の2階の部屋で、陰間の“真の役割”を目の当たりにしてしまいます。

あまりの衝撃にショックを受けますが、のあもいずれ陰間として働く運命だと気づいてしまった一花。

「のあを川で助けた」という自分の行動が、彼の運命を変えてしまったのではないかと悩みますが…。

 

「芳町花かげ地獄」を読んだ感想(ネタバレ注意)

江戸の空気に惹きこまれる!

読んでまず圧倒されたのは、江戸時代の雰囲気がとてもリアルに伝わってくることです!

陰間茶屋や芳町の街並み、当時の人々の暮らしぶりが細かく描かれていました。

背景や着物などの衣装の描写も美しく、物語の世界観にどっぷり浸かったような感覚になります!

舞妓さんが使うような、いわゆる“郭言葉”も、この陰間茶屋ならではの艶やかで独特な雰囲気を表していて非常に惹きこまれました。

この時代、この場所で生きている人たちの空気感が伝わり、物語により没入できますね…!

胸が打たれる繊細な描写

一花やのあをはじめとする登場人物たちの心の揺れなどが、とても丁寧に描かれており…、美しく繊細な絵柄も相まって、思わず感情移入してしまいます…!

特に、一花の優しさや楼主として陰間茶屋で働く責任感、のあの繊細さや、ここで生きることへの覚悟と強さがページをめくるごとに伝わってきました。

表情だけではなく、瞳や人物、背景の影の描き方、さらには吹き出しにもキャラクターの心情が表れているところも、本作に惹きこまれる大きな理由だと思います!

それぞれの登場人物が、自らの置かれている立場や、この時代・世界ならではの“暗黙の了解”に苦しみながらも生きる姿が切なく、けれどその強さには胸が打たれましたね…。

一花の可愛さと強さ

小桃
とにかく一花のキャラがめちゃくちゃ魅力的でした!

並木先生の丁寧で可愛らしい絵柄に、一花の少しギャップを感じられる男勝りな性格が良い味を出しています。江戸っ子の口調も自然と似合っていてステキですね♪

陰間茶屋という特殊な場所で生まれ育ち…。陰間茶屋の本来の仕事を知らなかったとはいえ、次の楼主として生きる中で幼い頃からたくましく成長している姿は本当にすごいと思います。

自分の立場を自覚した後も、紫扇楼の楼主としてキビキビと働く一花の姿から、彼女の強さが鮮明に見えました!

 

「芳町花かげ地獄」の見どころをご紹介

リアルに描かれる江戸の風俗文化

本作の見どころは、陰間茶屋や芳町の風景、そして当時を生きる人々の生活がリアルに描かれているところです!

歴史好きにはたまらない世界観が広がっており、細部までこだわった描写によって物語の世界に自然と引き込まれます…!

また、風俗文化の“闇”も生々しくあり…。切なく暗い現実がありながらも、そこで生きる人たちの強さには心を打たれました。

楼主と陰間、禁断の関係

一花は楼主として、のあは陰間として生きる世界…。立場上、決して同等にはなれず、また結ばれてはいけない2人の関係性も、物語の注目ポイントです。

立場を理解しながらも、幼い頃から兄妹同然に育てられてきた2人。お互いを大切に想いながらも距離を保たなければならない姿が、とても切なかったです。

今後の2人の幸せを願わずにはいられませんね…。

まとめ

『芳町花かげ地獄』は、江戸の情緒と禁断の恋が織りなす人間ドラマが魅力の作品です!

切なさと美しさが同居する物語に、ぜひ触れてみてくださいね。

欲望が渦巻く世界に翻弄される一花とのあは、この先どのような結末を迎えるのでしょうか?